ご自宅の土地価格がどれくらいか、ご存知ですか?
自宅の購入や売却は人生に一度あるかないかの経験です。
失敗しないためにもいろいろなことを知っておきたいですね。
「こんなに売却額が低いの!?」とか、「あの時に売っていれば…」なんてことになっても後の祭りです。
この記事では
・不動産の公示価格と時価の違い
・4種類の公的価格
・ご自宅の土地価格の簡単な計算方法
について解説していきます。
この記事を読めば、土地価格の種類を理解し、おおまかな価格計算もご自身でできるようになります。
購入や売却、相続税の不安も少し軽減することができるはずです。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
1.公示価格と実勢価格の違いを理解しよう!
(1)公示価格とは?
公示価格とは、地価公示法という法律に基づき国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公示する標準地(標準的な土地)の価格のことです。正式には「地価公示価格」といいます。
地価公示、公示地価、公示価格など、様々な呼び方をされますが、同じ意味を指しています。毎年1月1日時点の1平米当たりの正常な価格を判定して、毎年3月に公示されます。年間を通して、その付近の土地の指標となる価格を設定しているのです。
(2)実勢価格(時価)とは?
実勢価格とは、実際に市場で売買される取引価格のことです。具体的には、近隣地域での直近の取引実績を参考に算定する場合が多いです。「実際に市場で売買される価格」ですので、この価格は国が決めているのではなく、皆さんが購入した価格がもとになっています。
(3)公示価格と実勢価格の違いとは?
公示価格は国が公開している価格で、年に一度だけ更新されますが、時価は「実際の取引価格」を指していて、取引されるたびに変動します。つまり、最近の取引価格がすぐに反映されるのが「時価」で、一年間の指標になるのが国の定める「公示価格」なのです。
2.公示価格以外の公的価格を解説
(1)土地には4つの価格がある
次の通り、土地には4種類の価格があります。
・公示価格
・時価(実勢価格)
・相続税評価額
・固定資産税評価額
なぜこんなにも種類があるのかというと、土地の価格を決める時には、色々な立場の人たちが関わり、それぞれ意見を反映させておく必要があるからです。例えば、買う人は「安く買いたい」、売る人は「高く売りたい」、このバランスが時価を作り出しています。しかし、仮に時価が高くなっていったからといって、もともと住んでいた家の税金(固定資産税)が膨れ上がったら困ってしまいますよね。逆に下がりすぎてしまうと税収入が少なくなり、地方自治体が困ってしまいます。そういったことにならないように、それぞれの価格に名前を付け、別の価格として扱うことでバランスをとっているのです。
このように、1つの土地に4つの違った価格があることを、「一物四価」といいます。2つ(公示価格と時価)は先に触れましたので、残るは2つだけです!
(2)固定資産税評価額とは?
不動産を所有されている方は「固定資産税」を払っているので、なんとなく聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。ご自宅の土地や建物、アパート、ビル、田、畑、山林、など…ご自分で使用されているかを問わず、所有する不動産に対して課せられる税金が固定資産税です。この固定資産税の基となるのが固定資産税評価額です。固定資産税評価額は、時価の60%~70%程度に設定されており、仮に時価が大きく変動しても、緩やかに変動するようになっています。なお、この固定資産税評価額は3年ごとに評価が見直され、これを固定資産税の評価替えと言います。3年間は据え置きとなりますので、「来年はいくらになるのだろう…」という不安を毎年感じる必要はありません。
(3)相続税評価額とは?
相続税評価額とは、相続税や贈与税を計算するときの基準となる価格のことです。固定資産税評価額は、不動産を持っている人が払う税金の基準であるのに対して、相続税評価額は不動産を受け取る人が払う税金の基準になる価格です。この相続税評価額は一般に、「路線価」と呼ばれる価格に、面積を掛けて計算します。
(※路線価:路線(道路)に面する標準的な宅地の1平米当たりの価額)
例えば1平米あたり10万円の道路で、計算したい土地の面積が100平米なら、10万円×100平米=1,000万円といった具合です。路線価が定められていない地域の場合、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算することもあります。(倍率方式)
(4)公示価格以外の公的価格 まとめ
ここまでに勉強した4つが「一物四価」と呼ばれる価格です。
・公示価格(国が定める適正な価格)
・時価(実際に取引される市場価格)
・固定資産税評価額(不動産を持っている人が払う税金の基準となる価格)
・相続税評価額(不動産をもらう人が払う税金の基準となる価格)
4つ全ての価格を把握する必要はありませんが、こんな価格があると覚えておくだけでも、実際に不動産を売却・購入する際に役立つのではないでしょうか。
※ちなみに、公示価格は国(国土交通省土地鑑定員会)が公表する毎年1月1日時点の鑑定評価額ですが、似ているものとして「基準値価格」があります。「基準値価格」は、都道府県が公表する毎年7月1日時点の鑑定評価額で、公示価格の補完的な役割を担います。
3.実際に計算してみよう
(1)公示価格の確認方法とは?
公示価格は「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」という国土交通省のサイトで調べることができます。
https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=0&TYP=0
(国土交通省ウェブサイト)
バナー画像も国交省で用意があるのでページに起こすときは使用するとよいかもしれません。上記URLか、もしくは「地価公示」などの検索でも見つけることができます。

このサイトです。お探しの都道府県名をクリックします。今回は埼玉県和光市新倉二丁目を例とし、実際に調べてみました。まずは埼玉県をクリックします。
すると…

埼玉県の画像に切り替わります。続いて和光市をクリックすると…

条件を指定する画面になりますが、この画面で何も触らずに検索しても全く問題ありません。

このような画面になります。和光市内で、標準地に定められているのは13か所のようですね。この中からお調べの地域に一番近い場所の「地図で確認する」をクリックします!

皆さんの画面にはとても見慣れた地域の地図が出てきたのではないでしょうか。お住まいの地域に一番近い場所の●をクリックし、「詳細表示」を押すと…

その土地の公示価格を見ることができます!この地域は1平米あたり32万7000円ですね。1坪を3.3平米とすると、1坪あたり約108万円となります。
東京都内にも1坪当たり100万円を切る地域は有りますので、和光市は比較的需要性の高い地域だということが分かりますね。ちなみに「グラフを表示」のところをクリックすると…

実際の変化を表したグラフを見ることができます。0は前年を基準にして変化がないことを表していますので、2019年は5.1%上昇、2020年も5.1%上昇、2021年は変化なし…この三年間で約10.4%上昇した状態で止まっている、ということまで分かります。
(2)土地の概算価格を計算する方法
「公示価格の1.1倍≒時価」と、不動産業界では考えられています。もちろん、土地の形や大きさ、位置によって価格は変動するため、絶対ではありません。「およそ1.1倍すると時価に近しくなる」と、目安としてご認識ください。事例の和光市の新倉二丁目の土地面積が100平米だった場合を想定して算出してみましょう。
327,000円(公示価格)×1.1倍(時価に変換)×100平米(土地の面積)
=35,970,000円
こちらの価格があなたの土地の概算価格となります。式にあてはめるだけなので、とても簡単ですね。
ただし、この価格はあくまで目安です。必ずしも1.1倍した価格で売れるわけではございません。詳しい価値をお知りになりたい方は、不動産のプロに査定をご相談ください。
4.まとめ
今回は様々な価格について学んできましたが、いかがでしたでしょうか?マイホームやご所有の不動産を売却しようとしてどれくらいの価値があるのかを知りたいと思っても、何も分からない状態で価格を調べるのは難しいものです。この記事を読むことで、専門家にしか分からないと思っていた土地の価格を、少しでも身近に感じていただければ幸いです。今回ご紹介したものは大まかな価格の調べ方です。不動産のご売却を検討している方は、ぜひ信頼できるプロの不動産会社に相談してみましょう。