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相続対策に不動産投資は有効? 相続と不動産の専門家が答えます

相続対策について調べていると、「不動産投資(不動産購入)で相続対策ができます!」
という内容がよく目に入ります。これはどのような仕組みなのでしょうか?
このページを検索された方は、相続対策をして少しでも多くの資産をご家族に残したいとお考えかと思います。
今回は、不動産投資を中心とした相続対策についてわかりやすい表現でまとめました。

この記事では

・相続税の仕組み
・不動産投資のメリット・デメリット
・不動産投資を活用する場合の選択肢
・相続人の意見がまとまらない場合の対策
・不動産の分割方法
・納税資金対策

について知ることができます。
相続税の大枠やご自身に向いている相続対策の方法、それにより発生するメリット、デメリットを理解する一助になることでしょう。

ぜひ、最後までご覧ください。

1.相続税について

(1)相続税とは?

相続税は、個人が被相続人(亡くなった人のことを指します)から相続などによって財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税金です。
基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)と定められており、遺産総額がこの金額を上回ると課税されます。

例えば、夫婦と子2人の4人家族で夫が亡くなった場合、妻と子が法定相続人となり、
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円が基礎控除額となります。
※法定相続人とは、民法で定められた被相続人の財産を相続できる人(配偶者や子など)です。

 

(2)相続税を払う人は増加している

2015年に税制が改正されて以降、全国で8~9%、東京都に限ると、12%程度が課税件数の割合となっています。つまり、東京都に住む約8人に1人は相続税が課税されていることになります。
相続税について、詳しくはこちらでも解説しています。

(3)相続税の税率

遺産の総額が基礎控除額を超えてしまった場合は、法定相続分に応じて下記の通り税率が定められています。

1,000万円以下…税率10%、控除額無し
3,000万円以下…税率15%、控除額50万円
5,000万円以下…税率20%、控除額200万円
1億円以下 …税率30%、控除額700万円
2億円以下 …税率40%、控除額1,700万円
3億円以下 …税率45%、控除額2,700万円
6億円以下 …税率50%、控除額4,200万円
6億円超 …税率55%、控除額7,200万円

国税庁ホームページ:「相続税の税率」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

金額により10%~55%となっていますが、最大で半分以上税金として納税する必要があるとなると、やはりできる限りの対策は立てたいですよね。


2.不動産投資を利用した相続対策のメリット・デメリットは?

(1)不動産購入による相続対策のメリット

・価格変動に強い

現預金や有価証券、国債などの金融資産は、価格変動によって資産価値が下がるリスクも併せ持っています。世界情勢や経済事情の影響を受けやすいためです。
一方で、不動産は現物資産であり、立地などの条件が良いものを選ぶことで価値が暴落するリスクは回避しやすいと言えます。
さらに不動産は、管理の手間はあるものの第三者に賃貸することで継続的に収入を得ることが可能です。

・マンション価格は上昇傾向(首都圏)

首都圏では、マンション価格は上昇傾向にあります。不動産経済研究所が2022年1月25日に発表した2021年の首都圏新築マンションの平均価格は6260万円でした。これは、バブル期を超え過去最高を更新しています。
もちろん、「マンションならどこでも価格が上昇するので持っておけば安心だ」と断言することはできません。
例えば、「大学生向けのワンルームを購入したら、数年後に近くにあったキャンパスが移転、空室が続くようになってしまった。その結果、物件の価格も下がった。」というケースもあります。
しかしながら、不動産業界を俯瞰するとマンション需要は今後も続くといえます。街を歩いていると、大手不動産会社がマンションを建設している現場を目にすることもありますよね。これは、需要がある一面もありますが、ディベロッパーは新しい土地を仕入れ、マンションを建てて、販売していかないと会社が回らなくなるという一面もあります。

・相続税額が減らせる(圧縮率の利用)

相続税の課税対象となる不動産の価格は、相続税評価額によって判断されます。相続税評価額は、地域により時価(実際にその時に取引されている価格)よりも低く評価される場合があります。
この相続税評価額と時価のあいだに生じた差により、実際よりも相続税額を低く抑えられる場合があります。そのため、不動産投資が相続税対策に用いられることがあるのです。
ただし、必ずしも相続税を抑えることができるわけではなく、時価が評価額よりも低くなる地域もあります。相続税対策のために不動産投資を考える場合には、必ずプロに相談しましょう。

 


(2)不動産購入による相続対策のデメリット

・相続人には現金ではなく不動産が相続される

相続人にとって、必ずしも不動産で相続することが良いとは限りません。たしかに、遺産を現金で受け取るよりも、不動産で受け取ってから売却した方が、金額が多くなるケースもあります。しかし、売却を急ぐあまりに周辺相場より安く不動産を売ってしまう可能性や、管理が行き届かず資産価値が下がる可能性があります。

・手続きが負担になることがある

不動産を売却することになったとき、不動産会社だけでなく売主自身も様々なことに対応していかなければなりません。どんなにスムーズに買主が見つかったとしても、手続きなどに費やす時間や労力が発生します。売却には仲介手数料などの費用もかかりますが、売却で得た収入から捻出できる場合が多いです。しかし、心配はそれだけではなく、「そもそも、どこの不動産会社に依頼したら高く売れる?」「今、売るのは正解なのか?」など不安が出てくることもあるでしょう。いっそ手残りが少なくても現金で受け取ればよかった、と思うこともあるかもしれません。

 

(3)検討する人はここに注意しよう!

(1)にて、都心や駅から近い物件の方が有利だとお伝えしました。これは不動産投資における「利回り」という指標が関係してきます。「利回り」とは、投資した金額(購入価格)に対して得られる見込み収益の割合です。

「利回り」は、都心や駅から近い、利便性の高い物件ほど低くなる傾向があります。理由は、利便性が高ければ需要があるので物件価格も高くなり、購入資金が多くかかるためです。銀行への返済や建物の修繕費、空室時の収益減などの費用負担も多くなります。
ここに注意しないと、ご自身、もしくは相続人に過大な負担が発生してしまうこともあるので、十分に注意しましょう。

物件選びは複合的な判断が必要になりますので、知識と経験豊富な不動産会社に相談することをおすすめします。

 


3.不動産投資の選択肢

(1)区分所有マンション

マンションの1部屋(ワンルームタイプなど)を購入することによる相続対策です。
1物件当たりの価格がおさえられるので、相続人の人数に合わせて複数購入することも検討しやすいです。管理に手間があまりかからないこと、売却しやすいことなどがメリットとして挙げられます。デメリットは、空室が発生した場合、次の入居者が見つかるまでは無収入になってしまう点です。

 

(2)一棟アパート、一棟マンション

アパート・マンションなど一棟まるごと購入することによる相続対策です。
節税効果は基本的には区分所有マンションと同程度ですが、収益率は非常に大きくなるというメリットがあります。デメリットは、一棟で所有する場合は建物の維持管理もご自身で行う必要があり、大規模修繕など、区分所有マンションにはない高額の出費が発生することが挙げられます。

 

(3)不動産小口化商品(共同出資型不動産)

不動産小口化商品とは、不動産を小口化した投資商品のことで、みんなで共同出資して不動産を購入する形態をとります。
不動産小口化商品は「匿名組合型」と「任意組合型」の2種類があり、相続対策に有効なのは「任意組合型」です。

2種類の大きな違いは、不動産の所有者が事業者であるか、出資者であるかという点です。「匿名組合型」の場合は事業者が不動産所有者となり、不動産登記も事業者のみです。
(出資者が所有者として登記されない=匿名性があるということです。)

「任意組合型」は、出資者が不動産の共有持分を購入し、現物出資します。事業者はその不動産を管理・運用し、収益を出資者に分配します。

つまり「任意組合型」は、投資の形式をもって不動産を所有していると言えます。そのため、相続対策に活用することができるのです。
管理運用は不動産会社が対応します。価格は1口100万円程度と、通常の不動産を購入するより低くおさえられています。また、相続人の人数にあわせて口数を購入することによって分配しやすいという点もメリットです。
デメリットとしては、融資が受けられない点、売却することが難しい点が挙げられます。購入には、親族でしっかりと話し合って決定することが重要です。

 

4.相続人が複数いる、意見がまとまらない場合の対策

(1)不動産で相続税対策をしただけではNG

上記まで、不動産投資で相続税対策ができる場合について説明しました。
しかし、不動産投資のみでは対策が万全とは言えません。相続人は1人ではないケースが多いため、相続人たちみんなが納得するような方法を選ばなければトラブルにつながりかねません。
相続対策にはほかに、「分割対策」や「納税資金対策」も考える必要があります。
(「分割対策」「納税資金対策」については、次の章からご説明します。)

(2)相続人が複数人いる、意見がまとまらない場合に起こること

不動産は現預金と異なり、簡単にお金に換えることができません。そのため、相続財産を不動産に換えていたとしても、いざ相続が始まったときに相続人たちが分割について揉める可能性があります。人数が多くなるほど、住んでいる地域やそれぞれの事情も異なり、話し合いをまとめるのが難しくなるでしょう。

また、相続人どうしで「不動産を所有しておきたい」という意見と「売って現金にしたい」という意見で分かれ、遺産分割協議が進まないという事態も起こりえます。相続税を圧縮するだけでなく、被相続人が亡くなって相続が始まったあとについても考えることが本当の意味での「相続対策」なのです。

 

5.不動産を分割する方法

相続人の争いを防ぎ「争族」とならないようにするためには、不動産を分割し公平に分けられるよう準備しておくことも必要です。
この項目では、不動産を分割する方法を説明します。
不動産を分割する方法は、主に4つあります。

(1)現物分割

現物分割とは、「そのままの形で引き継ぐ」方法です。話合いがまとまっているなら、長男1人で不動産を相続し、その他を残りの各相続人で分け合うのも現物分割です。土地を法定相続割合と同じ割合に「分筆」して各相続人が取得するのも、現物分割にあたります。
ただし、分筆できるのは「土地」のみで「建物」の分筆をすることはできません。また、景観保護のために、土地の分筆には行政との事前協議が必要な地域もあります。相続手続きが簡単で明確になるというメリットがありますが、各相続人が納得するまで遺産分割協議がまとまらなくなるというデメリットがあります。

(2)代償分割

不動産を1人の相続人が取得し、他の相続人に法定相続割合に応じた代償金を支払って解決する分け方です。
「代償金」が支払われるので、不動産を取得しなかった他の相続人から不満が出にくい点、分筆できない土地や建物の分割にも使えるメリットもあります。
デメリットは、不動産の根拠ある「評価」が必要になることです。不動産には「定価」はありません。評価方法にもいくつか種類があるので、相続人たちが「どの評価方法を適用するか」でもめる可能性があります。また、不動産の取得を望む相続人が「代償金」を用意できることが前提条件です。

(3)換価分割

不動産を売却して、売却金を相続人で分け合う方法です。相続人たちが協力して不動産を売って諸経費を差し引き、手元に残った金額を法定相続割合に応じて分配します。
メリットは、不動産を売却するので「評価」の必要がない点です。どの評価方法を適用するかで相続人たちがもめるリスクもありません。不動産会社が市場価格などから査定した金額をもとに、売却することになります。
デメリットは、売却を急ぐと安値でしか売れない可能性がある点、諸経費が差し引かれるので手元に残る金額が思ったより低くなってしまうケースもある点です。

(4)共有

共有とは、不動産を複数の人が共同所有することです。相続した不動産を共有する場合、法定相続人が法定相続割合に応じた「共有持分」を取得してそのまま全員で共有状態にします。
相続人たちの話し合いができない、または折り合わない場合などに「とりあえずそのまま共有にする」というケースがあります。
共有のメリットはありません。デメリットは、不動産の管理処分には、共有持分権者全員の同意が必要になることです。たとえば「賃貸に出して活用したい」、「リフォームしたい」などと考えても、他の共有持分権者の同意がないと自由に動けません。固定資産税だけがかかるので売却したいと思っても、売却には「共有持分権者全員の合意」が必要です。

共有はトラブルの引き金になりかねないので、おすすめできません。

 

6.納税資金対策

「相続税は物納できる」というのは、たしかに事実ではあります。
しかし、物納が認められるのは非常に条件が厳しいです。

「相続税は現金による一括納付が原則」と考えるべきでしょう。
まずは資産状況を把握し、納税資金がどのくらい必要なのかをシミュレーションしておくことが大切です。税理士など信頼できるプロに相談しましょう。

納税できる金融資産の確保のために、今からどんな対策ができるでしょうか。

 

(1)資産の組み換え

不動産資産を持っていても、売りづらい建物や土地の場合は換金できるまでに時間がかかります。
そのため、事前に資産を整理して売却しやすい不動産に買い替えることや、金融資産などとのバランスを整え、偏りがないようにしておくことも納税資金対策になります。

ただし、不動産の売却で譲渡益が発生する場合は、確定申告が必要になります。
また、「小規模宅地等の特例」の適用も考慮して検討する必要があります。「小規模宅地等の特例」とは、被相続人が住んでいた自宅の土地や事業用に使っていた土地を、相続または遺贈により取得した際、一定の要件のもと、その評価額を最大80%減額することができる制度です。

「どの不動産を売却すべきなのか、または残しておくべきなのか」
不動産と相続の実務に長けている会社に相談することも対策への一歩です。

 


(2)保険商品の活用

生命保険金は相続人の財産ではなく、受取人の財産として扱われます。
そのため、生命保険金の受取を請求する際は、遺産分割協議の必要がないことで、相続人たちを受取人として指定することで、それぞれに生命保険金としてご自身の資産を渡すことができます。
誰にどの生命保険金が渡るのか明確になっているので、トラブルを避けやすいという点がメリットです。
ただし、相続人にあまりにも不公平が生じる場合には、受取人の財産とならない場合もありますので注意が必要です。

 

(3)生前贈与の活用

生前贈与には暦年贈与と相続時精算課税制度による贈与があります。

暦年贈与は、『毎年110万円以下の贈与であれば非課税になる』という贈与税のしくみを利用した贈与の方法です。毎年110万円を非課税で移すことができるので、被相続人の財産を相続人に移していくことができ、相続税対策となります。しかし、大きく3つの点で注意が必要です。

 

注意1)相続時精算課税制度との併用ができない

「相続時精算課税制度」とは、被相続人が亡くなったとき、相続財産に、過去に生前贈与した分も合わせて相続税を課税するという制度です。相続時精算課税の範囲は、父母や祖父母が子または孫です。生前贈与をおこなうときに、この制度を利用するかどうか選択をします。相続時精算課税の利用を選択した場合、贈与財産が累計2,500万円までは非課税であり、それ以上の場合は一律20%の贈与税が課税されます。
贈与税がかかるので生前贈与に踏み切れない、というような場合ではメリットとなる制度です。
しかし、相続時精算課税制度と暦年贈与は併用できません。
どちらが良いかはケースバイケースとなりますので、判断したい場合は税理士に相談しましょう。

注意2)推定相続人への相続開始前3年以内の贈与には、相続税がかかる

110万円以内が非課税で贈与できる暦年贈与ですが、相続開始前3年以内に贈与した分は相続税の対象になってしまいます。暦年贈与での生前贈与を考えている方は、早めに行うことも大切です。
ただし、この話は推定相続人への贈与が対象です。例えば、孫は推定相続人にはあたりません。したがって、孫に対する3年以内の贈与財産が相続税の計算に含まれることはありません。

※推定相続人とは
「相続が開始される前の段階で、相続人になるであろうと推定される人」
配偶者がいる場合は、まず配偶者が推定相続人となります。
次に、第一順位である子、第二順位である父母(直系尊属)、第三順位の兄弟姉妹がきます。
民法上、孫は推定相続人にはあたりません。

注意3)連年贈与とみなされたら、贈与税の対象になる

毎年110万円以下であれば贈与税を払わなくて済むという理由で、20年間にわたって毎年100万円ずつ贈与するという約束がされたとします。
この場合、1年ごとの贈与でなく、約束した年に「定期的にお金をもらう権利」を得たとして2,000万円全額に対して贈与税が課されます。

明確な契約書などが存在しなくても、連年贈与を疑われる可能性もあります。
税務に関することなので、具体的に対策する方法までは言及しません。しかし、暦年贈与を考えている方は、連年贈与となりうる場合があることもぜひ知っておいてください。

 

7.まとめ

不動産投資による相続対策の方法やメリット・デメリットを、確認してきました。ご自身の相続対策について、イメージは付きましたでしょうか。
それぞれの方法に良さがありますが、やはり大切なことは、「相続人としっかり話し合い、選択していくこと」だと思います。

この記事を読むことで、ご自身に相続税が発生するのか、不動産投資による対策をするならどの選択肢にすべきか、ということをお考えいただくきっかけになれば幸いです。

なお、今回ご紹介したものはごく一部です。
相続対策を検討される際は、ぜひ信頼できるプロの不動産会社に相談してみましょう。