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知っておきたい減価償却と不動産

不動産を扱っていると「減価償却」という日常的にあまり使用しない言葉に出会うことがあります。

このページをお読みいただいている方も、「減価償却」になじみがなく、どのようなものか知りたい、という方ではないでしょうか。

「減価償却」は会計処理のルールの1つです。

不動産について減価償却が出てくるのは、

①不動産を売る場合に、譲渡所得税を計算するとき
②不動産を賃貸して収益を得ている場合に、不動産所得の確定申告をするとき
③不動産賃貸業(大家業)を始めたい場合や、賃貸用物件の購入にあたり収支を検討しているとき

の3パターンがあります。

 今回のコラムでは「①不動産を売る場合に、譲渡所得税を計算するとき」の「減価償却」について解説致します。

 (②③のパターンについては、また別の機会に解説いたします。)


1.減価償却とは

(1)減価償却するのは建物及び設備

「減価償却」とはどういうことでしょうか。
かなりざっくりと言うと、減価償却とは「資産は、時間が経つにつれて価値が減っていく」という考え方です。
そして、その資産価値が目減りしていくことを会計上に表すことを指します。

もう少し具体的に言葉にしてみましょう。
ある資産を取得し、数年にわたって使用するとします。
その場合に、資産の取得額を数年に分けて費用化していくということです。

では、不動産で考えるとどうでしょうか。

建物の取得額は、建築したときや購入したときに一括して支払っているものですが、建物自体は数年にわたって使用していきますよね。
建物を取得して数年後に売却するというケースで考えてみましょう。

「建物の取得額を複数年にわたって計上する」という会計のルールに従うと、

取得時から売却時まで経過した年数によって、取得額からその不動産の価値を目減りさせる

ということになります。

 

なお、減価償却は土地には適用されません。
土地はいくら使っても減らない、使うことで価値が下がらないという考え方だからです。
また、建物という箱と、建物に付属する個々の設備を分けて減価償却することもできますが、今回のコラムでは分けて計算しませんのでご了承ください。

 

(2)不動産譲渡所得の計算

不動産を売却した時にいわゆる「利益」が出た場合は、「(不動産)譲渡所得」として確定申告をします。ですが、利益が出なければ確定申告する必要はありません。

こちらの記事「不動産の確定申告、どうやる?~専門家がわかりやすく解説!~」もご覧ください。)

では、利益はどのように計算するのでしょうか。
利益とは、「売れた価格―買った価格」という単純な計算ではありません。
前項をお読みいただいた皆さんなら、イメージできるのではないでしょうか。
そう、売るまでの経過年数で目減りした価値のことを考えなければなりません。
ここに「減価償却」が関わってきます。

 

課税譲渡所得金額の計算方法
課税譲渡所得金額=売却価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額

 

これが譲渡所得の計算方法です。減価償却の文字がありませんね。
減価償却は「取得費」に含まれています。取得価額(購入価額)から、売却した時点までの減価償却費相当額を控除した価格が「取得費」になります。
別の言い方をすると、「買った時から建物(設備含む)を使った分だけ価値が下がっている(減価償却している)ので、減価償却後の価格と今回売った価格をみて、利益が出ているか出ていないかを判断しましょう。」ということです。

 

減価償却費の計算方法(旧定額法)
減価償却費 = 取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数(※)
(※)1年未満の端数においては、6ヶ月以上→1年に換算、6ヶ月未満→切り捨て

 

それでは実際に計算してみましょう。

・取得した経緯:第1子が生まれる直前の15年前に購入したマイホーム
・売却価額:6,000万円
・購入価額:6,300万円(土地,4000万円、建物2,300万円)
・物件の種類構造:木造2階建ての居宅
・売却時の費用:200万円
(仲介手数料、登記費用、印紙税、測量費用など。解体がある場合解体費用)
・取得日:2007年3月
・売却日:2022年7月
(※)便宜上、購入費用は今回含めないものとします。

 

減価償却費=2,300万×0.9×0.031×15=9,625,500円(便宜上962万とします)

譲渡所得の計算は、

6,000万円-(2,300万-962万+4,000万+200万)=162万円

となります。

つまり買ったときよりも300万安く売ったのに、15年の歳月で建物が減価償却され、費用を控除しても162万円の利益が出たことになります。
この譲渡所得から特別控除がある場合は控除できます。
今回はマイホームの単純売却のため、3,000万円の特別控除(※2)が使えます。よって、

162万円-3,000万円=△2,838万円(マイナス)

となり、譲渡所得に係る所得税は生じません。

 

(※1)取得年月日によって、計算方法が「旧定額法」と「定額法」に分かれます。今回は、「旧定額法」を用いました。2007年4月以降に取得した場合は、「定額法」で計算します。
参考:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2105.htm

(※2)「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。
確定申告をしないと適用されませんので、申告忘れのないよう十分注意してください。


2.減価償却率と法定耐用年数

(1)木造、マイホーム以外の減価償却

いかがでしょうか。マイホーム売却時の譲渡所得の計算、減価償却の計算はできましたか。

もう少し今回のテーマ、減価償却について知っていきましょう。
前項では、「マイホーム(居住用財産)で木造建物」のケースでした。

それではマンションの場合はどうなのでしょうか。

鉄筋コンクリート(RC)造のマンションの場合、前項で掛けた0.031という償却率ではなく、0.015が適用されます。
この数字、どのように設定されているのでしょうか。それは「法定耐用年数」により設定されています。

木造の法定耐用年数は22年、RC造は47年です。
所得税法の規定により、非業務用(自己居住用)の場合はこれを1.5倍します。
木造33年、RC造70年となります。定額法というルールにより、それぞれ毎年●分の1ずつ償却されていく、という考え方になります。
よって、償却率は木造の場合1÷33≒0.031、RC造の場合1÷70≒0.015となります。

 ちなみに「非業務用資産」ではなく、「業務用資産」は1.5倍しませんので、償却率が高くなります。

 

(2)法定耐用年数表と償却率表

建物の種類や構造、業務用か非業務用(自己居住用)かによって、減価償却率が変わることが分かりましたね。それぞれの法定耐用年数、そこから算出される減価償却率は、国税庁のホームページで誰でも見ることができます。

主な減価償却資産の耐用年数表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

減価償却資産の償却率表
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/3.pdf

 

3.譲渡所得計算時の2大質問

(1)建物価格が分からない場合

「取得時の契約書に売買代金は書いてあるが、土地と建物の価格が分かれていないので建物価格が分からない」
確定申告の時期になると、売却をお手伝いしたお客様からよくこのご質問をお受けします。

土地建物の価格分離は、「消費税額があるものは消費税から逆算する」
消費税額がないものは、「土地と建物の購入時の時価の割合で按分する」
というのが一般的な方法です。

例えば、

・消費税5%時代に購入した物件
・消費税が100万円

という場合で考えてみましょう。

土地は前述のとおり、消費されませんので土地代に消費税はかかりません。
そのため、消費税額を消費税率で割り戻すと簡単に建物価格を出すことができます。

100万円÷5%=2,000万円

税抜建物価格は2,000万円となります。
仮に消費税込みの売買価格が4,500万円なら、土地価格は2,400万円になります。

消費税課税事業者でない個人売主の売買では消費税が掛かりません。
その場合は、固定資産税評価額の按分という方法が一般的です。
言い換えると、「固定資産税評価額に対する土地と建物それぞれの評価額と同じ割合で売買価格を分ける」ということです。

例えば、
・売買価格が4,500万円
・土地の固定資産評価額が1,400万円
・建物の固定資産評価額が700万円
という場合で考えてみましょう。

土地と建物を併せた固定資産税評価額は、2,100万円。つまり、土地の評価額は1,400万円なので評価額全体の2/3です。建物の評価額は1/3ということになります。この割合を用いて、按分します。

按分すると、4,500万円は、
4500万円×2/3=土地価格3,000万円、4,500万円×1/3=建物価格1,500万円に分離できます。

 

(2)取得費が分かる資料(契約書)がない場合

取得費が分かる資料がない場合はどうすれば良いのでしょうか。
親から引き継いだ不動産なので資料が見つからない、というケースは他人事ではないですよね。

このような場合は、売却価額の5%を「概算取得費」としてみなしてよいとするルールを適用することが一般的です。

例えば、売却価額が5,000万円なら250万円を取得費とすることができます。
この場合、本コラムでお話した使用した年数に応じた減価償却の計算はせず、支払った取得時の諸費用も考慮しません。

ですが、5,000万円で売れた物件が、購入時諸費用含めて250万円なわけがありませんし、マイホームで3,000万円控除を適用しても譲渡所得税がかかってしまいます。

「これを何とか回避する方法は無いか。」このようなご質問も時折お受けしますが、
「回避できるかもしれないが、できるとは言い切れません。」というのが正直な回答です。

しかし、弊社にご相談いただければ、不動産についての資料やヒアリングによる調査の上、回避できる可能性がある方法を検討いたします。お手伝いできるケースもありますので、気兼ねなくご相談ください。

 


4.まとめ

いかがでしたでしょうか。
減価償却とはどういうものか、減価償却の計算方法、マイホームを売却した時の譲渡所得税、売った時の税金について理解できたのではないでしょうか。

弊社は税理士法人傘下の不動産コンサルティング会社であり、創業以来、税理士または弁護士と協力し合いながら不動産のお悩みを解決してまいりました。
譲渡所得税は、お客様自身が確定申告されるケースがほとんどですが、取得時契約書が無い場合や、複数不動産がある場合など、税理士に一任することも選択肢だと思います。
弊社グループの税理士法人をご紹介することが可能ですので、気兼ねなくご相談ください。

あなたのお力になれるようサポートいたします。
ご相談お待ちしております。