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不動産価値と道路の関係とは?
~わかりやすく道路種別を解説~

不動産の売買や建て替えにとって、接している道路は大変重要です。

不動産は道路に接していなければ著しく価値が下がります。
道路に接していても、その接する間口、幅が狭ければ価値が下がります。

このコラムでは建築基準法規の基本をおさえながら、不動産と道路について解説していきます。

ぜひ、ご覧ください。

1.不動産における「道路」とは

(1)道、通路、路地状敷地

不動産用語で、「道路」とは、建築基準法上の「道路」を指します。
また、敷地に接する道路のことを「接道」といいます。

建築基準法上の「道路」でないものは、たとえ綺麗に舗装された道であっても「道路」ではありません。

建築基準法上の「道路」でない道路形状のものは、「通路」という呼び方が不動産の業界では最も使用されています。

(正式に統一されている、というわけではありません。)

また、建築敷地と一体となっていて通路の先が広がっている土地は、「路地状敷地」と言います。

突き当りの土地などで、お隣さん同士が2mずつの路地状敷地となっていて、舗装もしてあり、一見道路に見えるケースがあります。

(図のようなケースです。)

また私道との境が不明瞭でどこまでが「道路」でどこからが敷地か分かりづらいケースもありますので、注意が必要です。

(2)なぜ建築基準法上の道路かどうか、が重要なのか

不動産は道路が全て、と言われるくらいに道路がとても重要です。

なぜなら、それは道路付けによって「建築できるかできないか」が決まるからです。

建築できない土地は青空駐車場、資材や物置場所、畑などの農地、などの利用が考えられますが、建物が建てられないことによって、利用価値が大幅に制限されてしまいます。

建築できるかできないか、が最も土地の価値を増減させるといっても過言ではありません。

車両が通行できるかどうかが決まる道路の幅はもちろん、「どのくらいの長さで接しているか」ということも重要になります。

建築基準法第43条により、「建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない」と決められているからです。

 2.道路の種別とは

(1)建築基準法第42条第1項

建築基準法第42条には、道路に関する規定が置かれています。

条文冒頭には道路の定義が以下のようにされています。

「道路」とは、次の各号の一に該当する幅員4メートル以上のものをいう。

この「各号」にあたるものが道路の種類を定義しており、不動産、建築用語で「道路種別」と呼んでいます。次の項で、各種別を一覧にまとめましたのでご覧ください。

(2)道路種別一覧

道路種別          別称各種別の説明          
42条1項1号   1号道路道路法による道路
42条1項2号開発道路 都市計画法、土地区画整理法、旧宅造法、都市再開発法により設置された
道路
42条1項3号既存道(路)建築基準法施行時に既にあった道
42条1項4号計画道路道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法によるもので2年以内に事業執行が予定されている道路
42条1項5号位置指定道路    土地を建築物の敷地として利用する為に築造される幅員4m以上の道で、
特定行政庁からその位置の指定を受けたもの
42条2項2項道路建築基準法施行時、現に建築物が建ち並んでいる幅員4m(1.8m以上)未満の道で、特定行政庁の指定したものは、法第42条1項の道路とみなされ、
その中心線からの水平距離2mの線がその道路の境界線とみなされる
42条3項3項道路建築基準法施行時、現に建築物が建ち並んでいる道で、土地の状況により将来的にも4m確保するのが困難な場合に、その中心線からの水平距離2m未満1.35m以上(幅員2.7m以上4m未満)の範囲内において特定行政庁が指定する道
42条4項1号4項1号道路  特定行政庁が道路幅員を6mに指定した区域内で、4m以上6m未満であって
周囲の状況により安全に支障がないと認められた道
42条4項2号4項2号道路特定行政庁が道路幅員を6mに指定した区域内で、4m以上6m未満であって
地区計画等によって定められた道
42条4項号4項3号道路特定行政庁が道路幅員を6mに指定した区域内で、4m以上6m未満であって
区域指定前に現に建築基準法上の道路とされていた道
42条5項5項道路特定行政庁が道路幅員を6mに指定した区域内で、4m未満の道であって区域指定時の道路後退線を道路境界線とみなすもの
42条6項6項道路2項道路のうち、建築審査会の同意を得た道幅1.8m未満の道路。同意を受けると2項道路の扱いとなる                  

(2)道路の例外「建築基準法43条2項」

上記の通り、法42条1項から6項まで建築基準法上「道路」とされる定義されています。この「道路」に接していなければ、建築物の敷地として認められません。道路の例外規定として、以下の2つが法43条2項に規定されています。

①建築しようとする敷地が避難及び通行の安全上、基準に適合する幅員4m以上の道に2メートル以上接しており、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合する建築物であって、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの

②敷地の周囲に広い空地を有し、国土交通省令で定める基準に適合する建築物であって、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可するもの

①はあらかじめ認定基準を特定行政庁が定め、合致する場合に建築審査会の同意が不要な認定制度、②は建築審査会の同意が必要な許可制度になります。

建築審査会の同意については原則各特定行政庁において、同意基準が予め定められています。

この例外規定の①は2018年の法改正で新設され、②は旧称「法43条ただしがき通路」と呼ばれてきました。道路の形をしていても、建築基準法外の空地(通路)である場合には、十分な注意と確認が必要です。特に、②の許可制度は永続的に保証されず、建築する度に許可の取得が必要となります。

建築基準法外の通路に接する土地の場合、住宅ローンの審査が厳しくなるまたは融資不可となる場合がありますので、事前に金融機関に融資可能かどうかの確認が重要です。

(3)道路の種別による不動産価値

不動産にとって、接している道路がどれだけ重要かということが伝わりましたでしょうか。

不動産価値が減少しづらい道路種別は、42条1項1号、1項2号の道路、法42条4項1号道路、法42条4項2号の道路となるでしょう。

理由は、現況4m以上の幅員があり、原則として公道(一部私道もあり)だからです。

道路の種別に加えて、公道か私道か、の違いは不動産価値に大きな影響を及ぼします。

私道は人の通行、車両通行、掘削について、その私道所有者の承諾が必要となります。

もし、自分が私道の持分を有している場合は、将来の維持管理コストに備える必要があります。

接する道路について、道路の種別以外の不動産価値を左右する要素としては、幅員、敷地と道路が接している部分の長さ、行き止まりか通り抜けか、舗装の有無や状況、側溝の有無、側溝蓋(形状)の別、道路の利用阻害となるような電柱の有無、水道、下水道、都市ガス管の既設の有無、水道、下水道については公共団体の管理下かどうか、など多岐にわたります。

特に、幅員は車両通行に問題は無いか、すれ違える幅員かにより利用価値は大きく変わります。

また、出入口となる道路に接する幅(間口)が最低の2mの場合では、建築はできるものの、その利用価値は低くなります。間口が10m以上あれば住宅地としては価値が高く、商工業利用地としては20m以上あると望ましいでしょう。

路地状敷地の場合、2.5m以上の間口がないと、車を停めて人が通るのが困難になります。車のサイズや人の出入りを考慮すると3m以上の間口が望ましいでしょう。

3.まとめ

いかがでしょうか。

「道路の種別」が不動産の価値を左右する理由がお判りいただけたと思います。

また道路の種別だけでなく、道路に関する多くの要素が不動産の価値を左右します。

不動産を査定する場合や購入売却のご提案する場合などに、道路について調査しないと大きく目論見が外れてしまう場合がありますので、不動産会社は常に注意を払っている要素の一つです。

このコラムをお読みいただいている方も、ご自身の土地がどの道路種別に接していて、不動産価値を左右しそうな要素があるのかどうか、確認してみてはいかがでしょうか。

弊社は税理士法人傘下の不動産コンサルティング会社であり、創業以来、税理士または弁護士と協力し合いながらお客様へ不動産に関するご提案やお手伝いをおこなってまいりました。

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